■前回のあらすじ。
「拳銃と目玉焼」のDVDリリース&レンタル開始記念試写会に運よく参加することができたちょんハリ師匠。
こっそり試写会に潜入して、映画を堪能し、上映後には「沙倉ゆうの写真集」を買ったらさくっと帰って、ブログという名のチラシの裏に好き勝手書いてやりますぜゲヘヘ、というゲスな笑みを浮かべていたところ、会場到着後に秒速で正体がバレた。
予期せぬ出来事からパニックに陥り、「わ、私以外、私じゃないの・・・」と、なぜか「ゲスの極み乙女」の曲が頭に響く。
そして、待ちに待った「拳銃と目玉焼」の上映が開始された・・・。
以上、若干の誇張を交えた前回のおさらいでした。
・・・って、今から半月以上も前の試写会のことを書くよ。
それより前のおさらいは、こちらをご参照いただきたく。
■2回目の拳銃と目玉焼、どうだった?
まず最初に断っておきますと、映画の大まかな内容については、もうすでに書いたので、当記事では詳しくは触れません。
何より、DVD化されましたので、このブログを読むよりはお近くのTSUTAYA、ゲオで借りる、またはAmazonでお求めいただき、その目でお確かめくださいませ。
そして次に、試写会から半月以上が経過した今、ようやく記事を公開しているのは、単純に僕が遅筆だからです。*1
さて、約2時間「拳銃と目玉焼」の試写も終了。
ラストシーンで、志郎が「私の名は・・・仮面・・」とつぶやき、原宿CAPSULEが爆笑の渦に包まれ、エンドロール*2が始まるまで、あっという間でした。
ほぼ1年ぶり、観るのはこれが2度目。
一度観た映画を、再度観るということは、ストーリー展開が分かってる状態なわけです。
それを分かってても面白い、いや、それどころか、また観たい。
やっぱり、そう思える作品でした。
だからこそ、今回のDVD化は、うれしいわけで。
僕だけでなく、いろんな人が、好きな時に好きなだけ、何度でも見れる機会がやってきたのですから。
初めて観たときは、ヒーロー映画!アクション!報われない主人公の哀愁!そして主人公に自分を重ねて涙!という感想のほうが強かったのですが、2度目となる今回は、ちょっと見方が違いました。
ストーリー、展開が分かってる分、場面場面で、このとき、主人公は、ユキは、そしてユキの恋人テツヤはどんな気持ちだったのかなぁ、というのを、より考えながら見てた気がしますね。
で、改めて思い知ったのが、役者さんの演技力!
主役の小野孝弘さん、「ぼんやりした中年」志郎から、クライマックスで覚醒する志郎までを、完璧に演じていらっしゃいました。
最初に、安田監督が小野さんのことを「普通のおっちゃん」とおっしゃってましたが、「普通のおっちゃん」は「ぼんやり中年」ではあるかもしれないけれど、「覚醒する志郎」の演技をできないと思いますが・・・。
だからこそ、電話片手に試写会会場から普通に出てきたときには驚いたわけで。
そして、テツヤ役の矢口恭平さん。
テツヤは、初回と2回目に観たときとで、かなり印象が変わる役ですね。
1回目は、クズやなぁ→クライマックスで「(内面まで)イケメンやなぁ」と思って見てました。
たぶんそういう演出だと思います。*3
「事情が分かってる2回目」はどうだったか?
2回目のほうが、よりテツヤの心情に寄り添って観ることができました。
心のどこかでは、まだ昔の夢を追っているような、ゆらゆら揺れている若者のテツヤ。
劇中で、ユキと仕事について口論となり、つい「自分だって!」と心ない言葉をユキに浴びせてしまうシーンも、彼が自らの置かれている立場や、現状に耐えられず、心ならずも出てしまったセリフという風にみれば、納得であります。
さて、そのテツヤの恋人、ヒロインのユキを演じた沙倉ゆうのさん。
劇中のユキは、見てるだけで癒される、マジ天使です。
でも、ユキには、「マリア」という別の顔を持つ秘密があって・・・その「マリア」であるときも、努めて笑顔*4でいる健気さがまた、彼女を守ってあげたい、という男心をくすぐるわけです。
なお、会場で実際にお会いしたゆうのさんも、可愛さと、可憐さと、あどけなさと、上品さなどなどを兼ね備えた・・・京ことばで言えば「はんなり」といえばいいのでしょうか。素敵な方でした。
■3回泣いた。
2回目の観賞となる今回も、志郎の報われない恋心にはやっぱり涙腺崩壊!
まず、志郎が想いを寄せるユキの秘密を知ってから、彼女を呼び出して二人っきりで話すシーンで一回。
そして、テツヤが拉致られたときに、「大丈夫です。」とユキに向かって言うシーンで一回。
最後の、テツヤを救出してから、その場をバイクで去るまでのシーンでは、ほぼダダ漏れ。
特に、「大丈夫です。待っててください」なんていうときの表情とかね、見ちゃいられないよ、もう。
・・・見ちゃいられない、なんて書くと、志郎役の小野さんの芝居がひどい、みたいにも読めますが、まったく逆です、思い出し泣きができるくらい印象に残ってます。
ある意味、アクションシーンよりかっこいい。いくらユキのことが好きだからって、報われない恋のために、なんでそこまでするの!と思わずにはいられない。
だのに~な~ぜ~、歯をく~いし~ばぁり~・・・と、「若者よ」の一節が流れましたよ。
志郎は「おっさん」なので、正確には「中年よ」ですが。
そうそう、忘れちゃいけないのが、脇を固める役者さん。
まずは、喫茶店のママ、タクシー運転手のサブやん、社長。このトリオが最高。
役者さんの演技が絶妙なんです。
単純に、うまい!とだけ書くのは失礼なくらい。
このママ、サブやん、社長のやり取りは、バリバリで、コテコテの関西のおっちゃん、おばちゃんなもんで、いい意味で緊張感がないです。
いや、むしろこの三人がいることで、作品に日常感がもたらされて、志郎、ユキ、テツヤ、それぞれのシーンに場面が変わった時、新しい緊張感も生まれます。
なお、タクシー運転手のサブやん。大阪に住む叔父が本当にあんな感じ(笑)*5
劇中では、穏やかな口調ですが、それが逆に怖さを引き立たせています。
なお、試写会での印象はまったく逆、やさしさオーラが見えました。
そして、手下役のTommyさんと鈴木ただしさん。
テツヤをパチンコ屋の前で待ち伏せするんですが、あっ・・・怖えぇ。
二人の恫喝シーンも怖すぎるだろ。
ミナミの帝王にこんなシーンあったかな?と思いましたが、沢木の親分ではなく、山盛なので違います。
そして、そもそもミナミの帝王をちゃんと観たことが無いので、そうだったとしても分かりません。*6
振り込め詐欺集団のトップ、黒井役の吹上タツヒロさん。
黒井が、「この世には二つの○○が・・・」という感じで二択クイズ(違う)を話すときの気取った感じが最高にイライラしますね。
たぶん黒井の友達少ないな。
友達少ないから、自分だけが悦にひたるための、バイクとかクルマに手を出して・・・って、まんま今の自分じゃんか!!
悪役を悪役らしく演じてくれてるおかげで、迷うことなくスッと嫌いになれました。*7
■ただのヒーロー映画にあらず。
中年男性の皆様におかれましては、ヒーロー、変身、中年男が主人公、ということで軽く「ごはん」3杯はいけるくらい楽しめる内容になっています。*8
はっ!ごはん!
気になるのは、女性ですよね。女性に、この作品がどう刺さるか、どう響くか。
志郎は決しておしゃれじゃないし、むしろ、情けない部分も映し出されてます。
中年のおっさんの趣味がプラモなんて・・・と思うかもしれません。*9
が、皆それぞれに思うところあり、群像劇としても楽しめると思いますので、どうか女性のみなさんの心に刺さってくれ、と願うばかりであります。
でも、最近ネットで見る評判を見る限り、これは杞憂ですね。
■最後まで面白かった理由。
何度も、映画の主人公「志郎が報われない」と書いてきました。
事実、報われないのがいいんですが・・・それだけじゃないとも思います。
物語の最後でヒーローとヒロインがくっついて、「めでたしめでたし」で終わったり、何かしらの「ご褒美」が・・・
ご褒美が・・・
・・・志郎にはありません。
確かに、ヒロインとその彼氏は助かって良かったねー、ハッピー!って感じですが、肝心の主役にはありません。
この、主役にご褒美がないのがいいんです。
見返りを求めないのではなく、求めたところで「そもそも用意されてない」のが。
ほっぺにチューの一つでもご褒美が用意されてたら、ここまで激プッシュしてなかったかも。
いくら志郎に感情移入しても、そういうご褒美があった瞬間に、見てる人間(僕を含めたおっちゃんたち)の、およそ5分の1は彼を見放したのではないでしょうか。
本家(?)の仮面ライダーがほっぺにチューをもらうか?そのために戦うのか?
ビストロSMAPじゃあるまいし!!
結局、ユキから「ずっと忘れない」って言われるだけで、最後まで「こっち側」でいてくれたことがすごく良かった。
もし、僕が志郎だったら?ユキには忘れてほしいかも。いやぁ、だって辛いじゃん。
かなわぬ恋だよ。いっそ、君の記憶から消し去ってほしい。「忘れない」ってのは、ユキからしたら、やさしさから出た言葉かもしれないけども。
・・・。
志郎が女性不信にならないか心配です。
映画のラストで振り込め詐欺集団をしばきたおした翌日も、志郎はきっと新聞配達してるはず。
そして、ラストで変態をこらしめるために、ハーレーにまたがった、もう一人の異形の「変態」こと志郎。
ご褒美はなかったですが、新しい「何か」に目覚めてしまったのか?
・・・もうユキ関係ないんじゃないかな(笑)。それともその想いをふっきるために続けるのか?
いろいろと考えるだけで楽しい。
本当は今回でまとめるつもりだったのに、やっぱりまとまらなかった・・・ので、誰も楽しみにしてないだろうただの感想文なのに、もう一回だけ書きます。
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