■8万円のカメラに750円のライト!!スタッフ平均3.5人!!
11/4、横浜ブルク13にて安田淳一監督作品「拳銃と目玉焼」を観てきました。
監督の安田淳一氏のことを、調べてみようと思ったのですが、あまり情報を得られず・・・。
「拳銃と目玉焼」で検索すると、自主制作映画、低予算、少人数・・・というページを見かけますが、正直、そんなの書く必要なし!*1
しっかりとした娯楽作品として、楽しんできましたよ。
つーかね、自主制作とは思えないくらい面白かったよ。
http://withltd.sakura.ne.jp/kendama/
まずはおおまかなあらすじを。
■心優しき中年男が、ヒーローに。
主人公の志朗は、心優しい真面目な新聞配達員の・・・中年男。
毎朝、行きつけの喫茶店で、密かに思いを寄せるユキに焼いてもらう「目玉焼モーニング」を食べてるときと、趣味のプラモを製作してる時間が至福タイムでしたが・・・
あるとき、オヤジ狩りにあっていた町工場の社長を成り行きで助けたところから、志朗の日常に変化が起こるのであります。
翌日、いつもの喫茶店に行くと、昨夜助けた町工場の社長がいるではありませんか。
そして、志朗はその社長に誘われ、「オヤジ狩り狩り」に強引に協力させられます。
自己防衛策として、バイクのプロテクターを購入し、オヤジ狩りをしていた不良少年を(卑怯ながらも)撃退した志朗(と社長)。
さらにその翌朝、新聞で「オヤジ狩り少年返り討ち」を知ったユキの、「ちゃんとした事をする人、好きやなぁ」発言を真に受けちゃったりなんかしちゃったりして、なんともはや志朗は「正義の味方」になることを決意するのです。(©広川太一郎)
プロテクターを買い増して、装備をバージョンアップ、そしてトレーニングを開始して、どんどんその気になっちゃう。
ユキに振り向いてもらいたいがために。
しかし、その頃ユキは・・・。
とまぁ、大雑把なあらすじはこんなところです。(一部、公式サイトのあらすじを引用させていただきました。)
そして、以下はネタバレであります。
■妙にリアルなヒーロー映画でした。
志朗の冴えないっぷり、煮え切らないっぷりとか、トレーニング中の、パンチするたびの「シッ、シッ!」て言ってしまうところ。
一生懸命トレーニングして、シャドーを決めてみるものの、決まりきらない・・・。
主人公の、カッコつけたいんだけど、カッコつかないところに、「あぁ、自分もそんな感じだわぁ・・・」と感情移入を開始。
意中の人を振り向かせたい一心で、努力というか、トレーニングに励むんだけど、当然知られることもなく。
この、志朗の、ちょっとズレてる「頑張りベクトル」に、「あぁ、自分もそんな感じだわぁ・・・」と、ますます感情移入というか、同情ですよ、もう。
だからこそ、ユキのヒミツを知ってしまった時の志朗のショックというのは、計り知れないわけです。
志朗のことなのに、自分のことのように、ショック。
俺だけ知らなかったのか・・・とか、浮かれた俺のバカ!とか、まさかあの子がそんなことするわけない!!って・・・。
・・・って、多分、志朗も思ったはず。
思い余って、ユキを呼び出してしまったのも、ただ、会いたかっただけなんだろうなぁとか、勝手に彼の内面を想像したりもします。
あとね、ユキと同棲中のテツヤがイケメンなんですよ。
イケメンのテツヤと、冴えない中年の志朗。*3
しかも、テツヤとユキは、昔から苦楽を共にしてきた仲でもあることが、物語後半で明らかになり、ますます、「そりゃ、いくらなんでも、その間に割って入るのは無理ゲーだよぉ・・・。」と、この時点で涙モノですよ。(しかも、最終的に、テツヤいいやつだったしさぁ)
あぁ、そうそう、ヒーローのコスチュームだって、バイクのプロテクターを改造した手作りだった、っていうのも大事。
日常からそう遠くない、作品の世界観、距離感が、とてもリアルに感じました。
■ヒロインの可愛さ含め、すべてがいい感じ。
ヒロインの沙倉ゆうのさん、これがまた、絶妙な可愛さでしたね。*4
幼いような、それでいて、ときに大人っぽくも見えて、実に「いい感じ」の女優さんなのです。
沙倉ゆうのさんのtwitterを貼っておくよ! 沙倉ゆうの (@sakurayuno39) | Twitter
そんな彼女の、あわや!?*5のあんなシーン、ドキドキしないわけがない!!
恋するフォーチュンクッキー拳銃と目玉焼 Ver.AKB48[めざせ公式] - YouTube
彼女になってほしい女性No.1ですね、2014年11月現在。
そして、志朗の脇を固めるキャラクター、そしてそれを演じるキャストの皆さんが、これまた「その辺にいそう」な感じでいいんですよ。
物語が進むにつれて出てくる「悪役」がいかにも「ワルそう」な悪役で。
とても分かりやすい日常と、分かりやすい悪役の配置ってのが、これまたいい感じなんですよ。
その後の、「ヒーロータイム」が際立って見えます。
あと、物語の舞台が京都・大阪ってのも、良かったと思います。
志朗とテツヤ(と、ラストの敵とその取り巻き)以外の全員が関西弁、京都弁で喋っているからかなぁ。
喫茶店のママと、常連客サブちゃんのやり取り、ママと社長とのちょっとした掛け合いが、方言のお陰で、「そうそう、関西の日常はこんな感じだよね。」と、思わせてくれます。
素なのか、演技なのかわからないくらい、自然なんですなぁ。
これが東京の下町だと、また雰囲気が違ってくると思うんですよね。
決してド派手な映画ではないんだけど、すべてがいい感じに噛み合ってました。
お話も、ギョエェエエエ!!っとなるような目新しさは、ハッキリ書いてしまうとないです。
でも、ヒーローが形成されていく過程とか、その横で、主人公のヒロインに寄せる思いとか、そのヒロインが抱えるヒミツ、きっちり描かれています。
もっかい書くと、本当に、不思議なくらい、「すべてがいい感じに噛み合ってる。」そんな映画です。
(画像は映画とは関係ありません。)
■やっぱり、ヒーローには哀愁がないとね。
志朗は劇中で(自分の思い描いた)ヒーローになるわけですが・・・。
うーん、ヒーローというより、実際はワルモノをしばき倒す(アンド同じくらい、いやそれ以上にしばかれる)ので、ビジランテ(自警団、私刑執行人)と言ったほうが正しいとは思います。
対峙する敵が犯罪集団とは言うものの、ケガを負わせてしまうし、処罰を法に委ねているわけでもないですし・・・完全な正義の味方じゃない、ってことです。
どこまで考えられてるかは分かりませんが、主人公の志朗も、「何のために身体をはって戦ったのか」については、心得てるところで。
決して、正義のためじゃないんですよね。
書いちゃうけど、ユキのために戦うんです。
でも、その思いは報われない・・・って、志朗自身も、うすうす、いやはっきり分かってるけど、戦う。
その心意気にグッと来ましたよ、自分は。
この展開は、「勧善懲悪ヒーロー」とは違いますよね。
彼らは、正義の名の下に、戦いますけども。
惚れた女のために一生懸命になる、これが危険を顧みず戦う一番の理由。
でも、それでいいんですよ。
そのほうがカッコイイ。分かってても戦う、その瞬間、冴えないオッサンは、間違いなくヒーローだったんですよ。
■アクションシーン、かっこいいよ!
安田監督が、ビデオ撮影業を営んでいることもあってか、ワルモノとの戦闘シーンは迫力があります。
シーンとしては、短いけれど、粛々と、敵を倒していく志朗。*6
デスペラードに出てくるマリアッチのような、かっこよさ!!(見た目は異形だけどネ!)
カメラワーク、こだわってます。*7
あ、あ、ああああああああああああああああ!!!!!
今気づいたけど、ヒーローになった志朗、見た目がロボコップ!!!!・・・にはあんまり似てなかった。いや、ちょっと似てた。
■安田監督、多才すぎです。
最初に書いたけど、これが8万円のカメラ、平均3.5人のスタッフで撮られた映画とは思えない。
ほんとに、自主制作とは思えないです。2時間弱、きっちり楽しめましたよ。
お話もちゃんとしていたし。
志朗に感情移入できたのと、ヒロインが可愛かったのもあるけども;
そうそう、エンドロールで、何回「安田淳一」の名前が出てくるんだよ!!ってくらい、安田監督の名前が出てきた。
監督、脚本、撮影はもちろん、コスチュームデザイン、劇中の拳銃デザインと、一人何役こなしてるんだろう!?
とにかく、監督の多才っぷりも思い知りました笑
■30~40歳くらいの男性にハマるかも。
映画ですから、やっぱり、物語の主人公に共感できると、その面白さは跳ね上がるわけで。
だから、仮面ライダーや、戦隊物、いわゆる変身ヒーローに憧れた、30~40歳くらいの男性に、観てほしいなぁ。
僕も、すでにもう一回観たい!と思ってるので、ぜひとも、DVDか何か、カタチにならないですかね・・・。
と、言うことで、関東にお住まいの皆様、横浜ブルク13での「拳銃と目玉焼」上映は、11/7、21:00の回がラストですよ!!*8
えぇ、ワタクシ、文章下手くそなので、この映画の面白さがちっとも伝わってないと思います。
だからこそ!再上映あるか分からないし、DVDみたいなプロダクトになるかもわからないので、お見逃しなく!!
■追記:やったぜ!DVD発売&レンタル開始!!
9月2日に発売開始!!
同時にレンタルも!!
監督、おめでとうございます!!そしてありがとうございます!!