■正社員の肩書が遠のいて・・・。
前回、社長から「正社員かぁ、もうちょっと様子見で」を告げられて、愕然としたり、していなかった自分。
そして、上司からはいきなりの長期プロジェクトにアサインされ、にっちもさっちもどうにもブルドッグ。
持ち前の「できる風迷彩」*1も徐々に効果を失い、いつクビをかっ切られてもおかしくない、という状況に陥っていた*2。
しかし、このまま終わるのでは、亡き父に申し訳ない。
そして、カーチャンをガッカリさせてしまう。
それだけは回避しなければ。
■先輩が振ってくれた仕事が立ちはだかる。
プロジェクトリーダーが、僕に仕事を振る。
OJTみたいなもんだから、ということで比較的軽めの実装を用意してくれた。
比較的軽め、確かにそうだ。今思えば、超簡単な仕事だ。
けれども、当時の自分からしたら、そこそこ分厚い壁が、幾層にも重なって立ちはだかっていた。
そのときのことを思い出すのは簡単だ。
だって、今でも同じように、前に壁が立ちはだかることがあるから。
ただ、あの頃の自分と違うのは、少しばかり経験を積んでいることだ。
「塵は積もっても塵」なのは承知している。
しかし、塵であっても重ねてきた時間は経験となり、自分という器を程よく満たした。
そして、塵をかき集めてそれなりの道具・手法・武器として扱えるようになった。そしてまた、仕事に対して、どう攻めるか?という、ファーストアプローチに悩むことが少なくなる程度には成長・・・・できた・・・と思・・・いたい。
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とにかく、仕事を前にして、「やべー・・・どうしよう」と悩むことが減った。
まぁ、納期に追われて悩む、というのは今でも、いや現在進行形であるんだけどね・・。
話を当時に戻そう。
2015年とは違い、2011年の4月の僕、手持ちの武器(スキル)は「ひのきの棒」程度。
できるデバッグ方法といえば、echo と LINEをはさんで、画面に出力するのが精いっぱい。
プログラムのここまで動いてますー、へー、なるほど、だからなに?
開発効率なんて言葉は、そこになかった。
当然だが、徐々に通常業務時間では、仕事を終えられなくなっていた。
段々と、定時を過ぎても会社に残ることが増え、ずるずると居残り・・・そしてついに、研修期間なのに休日出勤を果たしてしまった。
■月月火水木金金。
まだ4年しかたっていないが、あのときのゴールデンウィークは本当につらかった。
目の前に展開されるプログラム。
なぜ、このプログラムは、どうして、そんなことに、そんな動きになるのだろう?
プログラムを前に、震えが止まらない僕がいた。*3
まったくわからない・・・というか、どこが分からないのか分からない・・・。
ただ一つ分かっていたのは、職業訓練校で学んできたことが、ほとんど、いや、まったく役に立たない状態だった、ということだ。
そのときの僕のスキルレベルは、基本の「き」を、さらに「いろは」の「い」に分解し、さらにその、「いろは」の「い」に行く前の、チケット売り場で列に並んでいるような状態だった。
むしろ、門前払いされてもおかしくないレベルだったよ。
そしてもう一つ分かっていたことがある。
この大型連休で、これまでの開発の遅れの帳尻を合わせないと、ひどいことになる、ということだ。
自分の「できる風迷彩」がかろうじて効果を継続していたため、なんとか4月は乗り切れたが、ここから先はそうもいかない。
カレンダーの赤文字を黒サインペンで塗りつぶして無理やり出社した。
■ソース!ソース!ソース!
自分の力だけではどうにもならなかったが、幸いなことに、先輩が書いたプログラムを見ることが出来た。
あとは分かるな?習うより、慣れろ。
どうやれば、データを保存することができるのか?
出力することができるのか?
バリデーション?なんだ?ハリガネとか、粉落としとか、湯気どおしの一種か!?
そもそもフレームワークって何だ!?
とにかく一生懸命先輩のソースと、php manualを見て、一つ一つの関数を調べていった。
その過程では、画面が真っ白になって、頭の中も真っ白になったり。
シンタックスエラーの意味を理解するのに、すごい悩んだ時もあったなぁ。
本当に、自分のレベルが低すぎて、幾度も心をへし折られそうになったよ。
だが、「クビになりたくない・・・」という恐怖感はなかなか優秀な燃料となり、大型連休最終日には、奇跡的に帳尻があう・・「っぽい」レベルまでたどり着いていた。
「合わない」、よりは「合う『っぽい』」というのはそこそこに違う状況で、「っぽい」まで行くと、あとどれくらいでこの峠を越えられるかが見えてくるようになるのだ。
え?その時書いたコード?
やめてくれ、思い出したくもないし、話したくもない。
そういうことを聴いてくる君、とりあえず、一皿おごるよ。
だから・・・、ここから出ていってくれないか?
想像しただけで胸焼けしそうだよ。
大型連休も、通常と同じ時間帯で出社し、さらに残業をした。
「裁量労働制」という、僕のような「できない奴」にとっては地獄のような制度のおかげで、めでたく地獄黄金週間は無給で幕を閉じた。
頑張った甲斐もあって、当初予定していた開発スケジュールまで戻すことができた。
相変わらず、スキルは低いままで、チケットを買って「いろは」の「い」のゲートをくぐったところにいる状態だったが。
とにかく、なんとか一つ目の修羅場を乗り越えることができた。
地獄のような数日だったが、この経験が、自分の血となり肉となったことは間違いない。*4
しかし、ほっと一息つこうと思っていた矢先に、まさかの出来事が発生。
某巨大掲示板などで目にはしていたが、こんなに早く、自分の身に降りかかることになろうとは・・・!!
次回:納期、一か月前倒しになる。
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